教育にもうひとつの選択肢を〜オルタナティブ・スクールあいち惟の森訪問

更新日:3月11日

私は大学を卒業して以来、大学院留学をした2年を除いて、クレイン立ち上までの18年間ずっと中学・高校の教員でした。でも実は、私は学校や先生が好きではない生徒でした。学校のルールはたくさん破っていたし、高校の一時期は学校に通っていませんでした。私の親はずっと、「なんであなたが学校の先生になったんかねぇ」と言ってましたし、私の中学、高校時代を知る親友は、私が教員をやめて独立をした時に、「やっと気づいたんや。ここまでようやっとったな」と言ったほどでした。


そんな私がずっと気になっていたのが、教育のもうひとつの選択肢である「オルタナティブ・スクール」。さまざまな事情で学校に通うことのできない生徒の居場所また教育補助機関として存在するフリースクールとは一線を画し、独自の教育理念やカリキュラムのもと、既存の学習指導の枠にとらわれない教育を実践するのがオルタナティブ・スクールです。日本ではまだ認知度が低いですが、価値観や生き方の多様性が叫ばれる中、徐々に注目を集めています。


今回はじめて訪問させていただいたのは、「あいち惟の森(ゆいのもり)」。私がオルタナティブスクールへの関心を伝えていた元同僚の方から、当校の新聞記事を送っていただいたのがきっかけでした。名古屋市緑区鳴海、藤田医科大学のすぐ近くで私の自宅からも車で約10分という距離でした。幹線道路から少し入るだけなのですが、視界が大きく広がる静かな土地の一角にあります。


私がお邪魔した11時はちょうどブレイクタイム(休憩時間)。校庭では若い先生と子供たちが一緒にバスケットボールをしていたり、校舎の中では車座になってトランプを楽しんでいたり...


視察の対応をしてくださったのは、事務局長の川合さん。惟の森の成り立ち、基本理念、カリキュラム、法人の運営についてじっくりお話ししてくださいました。


惟の森では、


① 自分らしく十分に生きる学校 

② 学ぶことの本質を味わう学校

③ よりよい未来をともに創る学校


という基本理念を掲げ、


「子どもは自ら育つチカラがある」

「子どもは、ひとりの市民である」


という子ども観を柱に据えています。その中で、自分も他者も大切にし認め合いながら自由に生きるという価値観、社会や地球の一員としてよりよい未来をつくるために協力しながら生きるという価値観を育てています。

その価値観やちからを身につけるためのカリキュラムは実に多彩。子供たちが自分で学習計画を立てる「基礎学習」、人権・環境・多文化理解・共生・平和など参加と体験でスキルを育む「テーマ・スキル学習」、芸術や生活、理科、社会など横断的にまなぶ「分野別学習」、自分のやりたい!を追求するための「自由活動」...さらに子どもたち自身で話し合い、振り返り、より良い学校を作るためのサークルタイムや全体ミーティングといった時間があります。


一週間の時間割のほぼ全てが教科学習一色の学校のカリキュラムに比べて、なんて多様でカラフルなんだろう!というのが私の最初の反応でした。一方で、これだけのことを実践していくためにどれだけ多くのスタッフと労力とパッションが必要だろうか...とその背景にある壮大な理念と行動力に圧倒されました。


川合さんの話を聞きながら思い出したのが、私がアメリカ視察のバッファローで訪問した語学学校。難民を多く受け入れるニューヨーク州バッファローでは、英語教育機関は英語を教えるだけでなく、心の傷を抱えたこどものケア、就労支援と実に多くの支援をしていました。ゼロから学校を立ち上げ、語学学校の運営と移民・難民へのサポートにパッション全開で生きるその学校の代表の姿に心を打たれたのが、私のクレイン開校を後押ししました。

惟の森のストーリーを聞きながらそんなことをふと思い出したのです。


お話を伺った後、校舎を案内してもらいました。「だれー?」「何しに来たのー?」と人懐っこい子どもたちからの注目が集まります。





色紙を飾る色紙を切り貼りする生徒たち、こんどのイベントで出品するというプラバン作りに興じる子どもたち、何やら難しそうな顔で計画を練っている高学年生たち...同じ時間、同じ空間でそれぞれが生き生きと過ごしていました。



 木の温もりと色んなアイデアが溢れる教室。机は愛知県内の材木で作られているとか。




  イベントで必要な物資を募集する掲示板。何やるんだろ?と興味津々になります



そうこうしているうち清掃タイム。先生が声を掛けるでもなく、子どもたちが自主的に掃除場所に散り散り移動し取り組んでいます。トイレ掃除をする子は、大人顔負けの徹底した仕事ぶりで、思わず「すごいねぇ。おじさんはこんなキレイに掃除できないよ。」と声をかけてしまったほどでした。


私が帰るころはランチタイム。食堂の大きなテーブルを囲んで食べている子、先生と隣り合って食べている子、校庭のベンチに隣り合って腰掛けて食べている子...


どの風景を切り取っても、子どもたちはそれぞれの時間の過ごし方をし、そしてみんながキラキラと素敵な笑顔をしていたのがなんとも印象的でした。



もちろん、今日私が見たのはほんの一端で、学校運営のためのたくさんの苦労があったり、子どもたちも楽しい時もあれば悲しい時もあったり、仲良くしたり喧嘩したりあるのでしょう。

それでも私が滞在していた時間は、笑顔と活気が溢れる教育現場がそこにありました。


私は2年前に学校現場から離れました。新卒の時から学校教員として多くのことを学び、多くの喜びを経験しました。それでも、自分の本当の居場所として、学校という環境は合っていなかったようです。それならこれからの自分は、もうひとつのオルタナティブな教育で何か貢献ができれば...そして、私と同じように、既存の学校に少し違和感を感じている子供や保護者の役に立てれば...

今回の訪問を通して、改めてそんなふうに考えました。


突然の問い合わせにも関わらず、今回の訪問を快く受け入れてくださった川合さん、あいち惟の森の皆様どうもありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いします。









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