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「独立してできるようになったこと、学校教員だからこそできること」久々の学会発表@英語授業研究学会

更新日:2021年3月24日

昨日は、英語教育関係の学会でたいへん権威のある学会のひとつ英語授業研究学会関東例会で登壇させていただく機会をいただきました。


この学会は本来、その名の通り、どうすればより良い授業が実践できるか?を学校の先生たちが発表する場なので、私のように今や中高教員ではない人間は門外漢のはず。


この学会のコーディネーターを務められていたのは、私が2019年に米国国務省人物交流プログラムでご一緒したT先生で、アメリカで3週間寝食をともにし、視察中はお互い実にいろんな話を共有した間柄でした。

「今回は少し違った趣向で様々なキャリアパスを持った方に話をしてもらいたい」ということで私に声がかかったわけです。

学校を飛び出した私が学校の先生方に何を話したらいいのだろうかと随分悩みましたが、その先生は「フォローしますから思ったことをズバっと話してください!」とのこと


うーん、15分という短い発表時間でしたが、何を話そうか悩みに悩みました。


考えた末に決めたテーマは


「独立してできるようになったこと」と「学校の先生だからできること」


ここでは、学会ではじっくり話す時間がなかったため、ここに私が伝えたかったことを紹介したいと思います。


独立してできるようになったこと


✔️ やりたいと思ったら即実行


起業の最大の利点。学校教員時代は、やりたいこと、生徒のためにこれはやった方がいいと思うことでも、何度も会議を経ないと実現しませんでした。それでも実現すれば良い方で、「そんなことやらなくていいじゃん(めんどくさいし)」という声に途中で消えていくことも多々ありました。クレインでは、私個人がこれはやるべきと思ったことはすぐ形になります。もちろんニーズがなければ消えていくことになるのですが。


✔️ 多様な年代の生徒、個に合わせた授業(小学2年〜社会人)


学校教員時代は年度のうちは一つの学年しか英語を教えないのが基本でした。でも今は、小学生から社会人の方まで実に多様な年代とニーズの生徒さんに英語を教えています。プライベート授業が多いので、個々の生徒さんに適した教材や授業の進め方を選択することができるのはクレインの強みです。また、学校では小中接続や高大接続が問題になることが多いですが、クレインの生徒さんは理想的には小学校→中学校→高校→大学→実社会とつながっていきます。


✔️ 仕事に対する視野の広がり


当たり前ですが、経営者になると全部が自分の仕事です。学校だったら、教科を教える先生、保護者とやり取りする担任、時間割やカリキュラムを担当する教務部、お金を扱う事務室、生徒募集を担当する入試広報室や渉外部、清掃をしてくれる業者さん、最後に決定権と責任を持つ校長先生…すべて私一人で行います。おかげで、教員時代には気づかなかったことがたくさん見えるようになり、自分の守備範囲もずいぶん広がったように思います。


✔️ メインジョブ以外の仕事や活動


いち経営者として仕事をしているといろんな方との関わりができますし、また自分がいいなぁと思った活動にどんどん手を出すことができます。例えば、グローバル教育やアジア地域に関心がある私は、アジア保健研修所の活動を支援しています。また、英語教育を通して世界の平和に少しでも貢献できる人材育成を目指しているため、ピースあいちでの語り継ぎ手ボランティアの研修から学ぶことが実に多くあります。学校に勤務していればそこでしか英語を教えられませんが、今わたしは長坂塾、名古屋外国語大学、そして4月からは名古屋市立大学とクレイン以外に3つの教育機関で教えています。


それでは、学校の先生にしかできないことはなんだろう…自分なりに考えてみました。


学校教員だからできること


✔️ 多数の生徒への一斉アプローチ


学校だったら生徒募集をしなくても先生は生徒に教えることができます。その先生の授業が面白くてもつまらなくても、決まって生徒は授業にいます。1日に平均3時間あれば、120人程度の生徒に英語や自分の思いを伝えることができます。全校集会や保護者会になればもっとたくさんの人にアプローチできます。教員の時はこれは当たり前のことですが、個人経営のクレインでは、一人の生徒さん・保護者の方に足を運んでもらうためには実に多くの広報活動が必要になります。「声を届ける」ことは決して簡単なことではないのです。1ヶ月まったく問い合わせのない時もありました。また、声が届いたところで興味を持ってもらえなければ授業をさせてもらうことはできません。


✔️ 他の教員との協力・アイデアの共有

私の前任校は、ひと学年15クラス、英語科に20人という大所帯の学校でした。大所帯だけにできないことがあるのは上に記した通りですが、同僚の先生から授業の仕方や学級運営の方法を教えてもらったり、失敗をフォローしてもらうことも多々ありました。悩んでいるときに親身になって夜遅くに話を聞いてくださった先生、仕事でうまくいかなかったときに「飲みに行こう!」といって元気付けてくれた先生…多くの仲間に励ましてもらいました。

経営者は自由である一方で孤独でもあります。仲間がいるというのはなんとも心強いことなのです。



✔️ 授業以外での生徒との関わり


私が学校を退職して恋しいのは行事です。文化祭、体育祭、遠足、修学旅行…授業の時とは違う生徒の一面が見られたり、行事を通して生徒との信頼関係を築くことができたように思います。特に私は文化祭が大好きでした。生徒たちがいろんなアイデアを出し合い、生徒同士でぶつかり合いながらも着実に成長していく姿に、私も自分の青春を重ねていました。修学旅行では、生徒と一緒になって学んだり体験をして、生徒と同じ目線で過ごせる時間というのがなんとも心地よかったものです。そして学年が終わる日や誕生日には生徒たちがサプライズをしてくれたり…教員生活で思い出される場面は授業外のことばかりです。


✔️ お金を抜きに情熱とスキルで勝負


クレインでは生徒さん(その保護者)から授業料を直接頂戴しています。それぞれの教育サービスに対する受講料があり、授業時間や日数が増えると授業料も増えることになります。60分より90分、週1日より2日…と増えればその分英語力がついていくだろうということもわかっていますが、それぞれ予定や予算の中でやりくりされているわけですからそうはいきません。でも学校はちょっと違います。

私がとても尊敬していたある先生がいます。私が学年でご一緒したときには、その先生はもう定年間際でした。英語と生徒をこよなく愛するこの先生は、毎朝始業前の1時間、その先生の指導を求める生徒のためにボランティアで授業をしていました。その生徒たちはメキメキと力をつけていき、東京外大や国際教養大に合格していきました。教員の超過勤務を減らす方向にある今だったら、時間外勤務手当を出さないわけにはいかないと思いますし、私も先生はボランティアで働くべきだというつもりは毛頭ありません。でも、その先生は純粋に英語愛と生徒愛で行動していました。何より、「朝早く登校してこの先生の授業を受けたい!」と生徒から慕われること自体がとても尊いことだと思うのです。


学会の最後に尋ねられた「参加者の先生方へのメッセージを」に対して私は僭越ながらこう答えました


「先生たちはもっと自由になるべきだと思います。


自分の情熱(パッション)を大切にしてください。


自分がワクワクすることをやる方が楽しいし、その方が仕事のパフォーマンスもあがるはずです。」


私のメッセージが現場の先生たちにどれだけ役立つものかは分かりませんが、私の素直な思いをお伝えさせてもらいました。

今回のこの貴重な場を与えてくださったT先生に感謝しながら...

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