自由に羽ばたくクレイン生、海を渡る
- 原田貴之

- 8月20日
- 読了時間: 2分
「この子、小さい頃から英語を習わせてるんですけど、外国にも全然興味がなくって…」とお母さんに連れられてやってきた小学6年生、クレインが開校してまだ一年も経たない2021年の1月であった。
大人に対して愛想がなく、言うことが生意気で、みんなのために置いているお菓子を一気に食べる。そして自由奔放でひとりで電車に乗ってどこへでも行ってしまう。
学校の先生にはきっと好かれないだろうなと思われるこの少年は、私の子供時代になんともよく似ていて不思議な親近感を覚えていた。
そんな少年は中学1年生の終わりには、「留学をする」と宣言するようになった。2年生ではクレイン初めてのピースキャンプに参加、プログラムの最後にみんなが平和のためにできるアクションをことばにして書いたとき、彼だけは、ひょうたんがたくさんつらなったようないびつな絵を描いた(国境のない世界を表現したそう)。中学3年生ではこちらもクレイン初のピースアカデミーに参加、上智大の藤田先生に謙虚さも物怖じする様子もなく話しかけ、アンコールワットでは観光客中の注目の的になるど派手なパフォーマンスをして私は冷や汗をかいた。
高校生になると彼の自立心と好奇心と行動力は一気に加速した。学校では体育祭や文化祭の実行委員をやったり、名古屋市の高校生起業家ワークショップに参加して最優秀賞を取った。2度目のピースアカデミーでベトナムを訪れた時は、カンボジアとベトナムの関係を自身のテーマとし、会う人会う人に構わずインタビューをして回った。
そして、2025年の夏、彼はピースキャンプで再び広島を訪れた。戦後80年の想いを共にするたくさんの外国人に出会い、彼は今度は「異なる国の人の考えを共有し、偏見や固定観念なく人々が対話ができるようにするピースメーカーになる」と宣言した。
彼がAFS72期生としてこれから約1年を過ごす国はポーランド。ヨーロッパにおける戦争と平和に向き合い、大好きなサッカーヨーロッパリーグがぐっと近くにある場所で生活をする。
あの生意気だった子供は5年の月日を経て、理想高き大志を抱く少年となり、私が新規の人にクレインでの生徒の変化の例を挙げるとき必ず紹介する、クレインの顔ともいえる存在になっている。
一年後に帰国してきた時、彼はどんな成長を遂げているだろうか。
さぁ、持ち前の度胸と身軽さと、芯の強さと平和への想いを胸に、大いに自由に羽ばたいておいで!
がんばれ、斗一朗!!







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